TV版タイトル「魔の宇宙病」は、その閉鎖空間における感染症の恐ろしさとタイムリミットものの緊張感が織り成す面白エピソード、どうしてこうなった。
バイクはネイキッド派北方。
いわゆる登場人物発狂モノ、ドタバタなんである程度レギュラー陣の役割分担とかが定着した後でないとそれなりに効果を発揮しないエピソードのような気がしてたんですが、TNG第三話でいきなり当エピソードに絡んだ話が出てきて驚いた覚えがあります。
まぁオリジナルも7話目くらいだけどな。
くだんの「服を着たままシャワーを浴びた事件」は崩壊中の惑星上観測所で起こった観測員全滅事件。
そういえばTNG時、このウィルス様の病原体はマッコイ作成の処方が効かず新たにドクタークラッシャーが血清を作ったんだが、小説版でマッコイは作成したガス状物質を艦内に流した、マジ天医無法。
半分ヴァルカン人であるスポックやアンドロイド・データにも影響があったこの病原体はしかしクリンゴン人ウォーフには感染症状がなかったことから推測するに、表層意識を崩壊させ深層潜在意識を表面化させる作用があると考察されるんだけど、クリンゴン人はそういう意味で良くも悪くもあまり裏表が無い性質なのかなあと思ったりした。
TV版ではレギュラー陣が潜在的欲求を開放させていく様子が絵的にとても面白おかしいんだが、崩壊惑星へ落下していくエンタープライズを脱出させるため低温状態反物質爆発(?)を行なった結果、時間線を過去へ遡ってしまうという事態も引き起こすという少々構成的に破綻しているのではと疑問が残る。
小説ではここのタイムスリップエピソードは完全にオミットされている代わりに、ドクターマッコイによるこの事件の発端となった崩壊中惑星からサンプル採取した極低温でも凍結していなかった水に関する報告がなされるのだ。
SF的にはこちらの方が正しいとは思うけど絵にならないしな。
小説では事件解決後、崩壊していく惑星を観測しつつそれを頭脳に見立ててリンクさせながら述懐するカーク船長でシメ。
"惑星はひとたび崩壊を開始すると、それはもう、徹底したものだ。だが頭脳の場合は、そうではない。
半分でもチャンスをあたえられれば、頭脳は元どおりに回復する。
ときとして、そいういうことが起こるのである。"
原題:The Naked Time 小説版:はだかの時間
TNG時エピソードの原題はThe Naked Nowなんで、酔っ払ってツイートするトレッキーの諸君は使うといいと思うよ。