2011年2月26日土曜日

Weather -気象の記憶-

気象とは人類が闘わなければならないもっとも身近に感じられる現象である。



春ちゃんまだ遠い北方。



昔から気象の予報というのは生死と密接にかかわる重大事であり、現在でもスペイン語でイエス・キリストを指すと同時に「男の子」を意味するエルニーニョ現象だのラニーニャ(女の子)だの、さまざまな気象現象に遭遇しては右往左往するってとこはあんまり変わらないが、科学的に正しく知ろうとする姿勢が徐々にでも培われてきているのは良いことだと思います。
科学の良いところの一つは、間違いであれば常に容易に修正可能な点にあるので、それが出来難いというのは科学じゃなくて宗教だろう。
だからデータ不足による間違いがあれば修正すればいいだけの話で、昨日言ってたこととまったく正反対で全然違うとしても別に不思議なことではないのだ。
なんで天気予報は徐々に精度を増しているといっていいが、観測事例が増えるだけ複雑さも増すので完全な気象の把握はできないということになろう。

ではSFなんかでよくある気象制御なんだけど……まぁそりゃ一筋縄ではいかんわな。
なんでかっていうと気象という現象のほぼすべての原因は太陽に由来していることからもおわかりのように、莫大なエネルギー量を相手にしなければならないからである。
偉い神様って類がたいてい何か一つは天候制御スキルを持っているのは当然の帰結であるのだ。
絶対的に貧弱なエネルギー量しか持たない人類でも、カオスな系では初期条件のわずかな差が時間とともに拡大し結果に大きな違いをもたらすというバタフライ効果に期待したくもなるが、そもそもバタフライ・エフェクトって結果は予測不可能、っていう現象なんで意図的に制御とは言い難い。
風が吹けば必ずしも桶屋が儲かるとは限らないのだな。

でも不可能そうな事例ほどSF向き。
気象兵器って単純なアイディアは実際にもあるけどそれより、スペースコロニー内の天候制御やテラフォーミングなども気象の制御技術であるといえよう。
デューンとかまんま惑星改造なんで気象制御SFとしての側面もあるなぁ。

気象現象の源である太陽を覆い尽くしたダイソン球天体こそ、気象制御術の行き着くところなのかもしれませんね。

2011年2月25日金曜日

ディスカバリーラストフライト

スペースシャトル:ディスカバリーの最後の打ち上げ(STS-133)が2月25日朝(日本時間)に無事成功。



津田です。



6人の飛行士に加え、NASAとGMが開発したロボット「Robonaut 2(R2)」が搭乗してます。
荷物としてなんだけど。
Robonautなどの機材をISS国際宇宙ステーションに運んで設置するのが今回のメインミッション。
でRobonaut 2くんなんだが、顔とか金色で派手派手。スターク社長の趣味か。
足、というか下半身もないのでついあんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよと言いたくなってしまうサガ。
実際は用途に合わせてキャタピラレッグとかオプションされるんだろうけど。
はやく宇宙で活躍する半ヒューマノイドロボットを見てみたいもんです。

数多くのミッションに活躍してきたディスカバリーは帰還後にスペースシャトルとして初の無事退役、スミソニアン博物館に展示される余生らしい。
スペースシャトル計画は、
4月19日:エンデバー打ち上げ(STS-134)
6月28日:のアトランティス打ち上げ(STS-135)
で終了予定。

ディスカバリーの直立実物大模型が展示されているスペースワールドも、記念になにかすればいいのに。すればいいのに!

2011年2月24日木曜日

タイムアンドマジック

北九州イノベーションギャラリーで3月6日までやってる企画展、
「時間旅行」展- TIME! TIME! TIME! を見てきた。



上舞です。



企画・制作が日本科学未来館で、国内のほかメキシコやポーランド、香港などを巡回してきた企画展らしいんですが、お子様とかはちょっと楽しめなかったかもですね。多分オミットされてる展示もあるんじゃないかな。
私は十二分に堪能してきましたが。

・無響空間
無響空間室では時間の経過が通常よりも長く感じられるとのことでしたが、

私はほぼ正確に一分で出てこられました。

良いのか悪いのか。

まぁ扉がヘタっていたのか微妙に外部音聞こえてたしな。


・動物時間
ネズミ!ウマ!ゾウ!いわゆる動物時間を視覚触覚的に体感できるってヤツ。

ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート! 刻むぞ!血液のビート!

・光の旅

ステラピースコって装置で過去からの光が旅する仕組みを追体験。
仕組みは単純、長さの違う筒の中を金属球が転がってくるのを見るというもの。
でもきれいでしたよ。オリオンとカシオペアがあった。

・スローモーション
気づかないくらいゆっくり動くベンチ。
世界最遅というだけあって全然動いてることに気がつきませんでした。

あとマシュマロスコープっていう、撮影された映像を一度メモリに貯え、プログラムによってリアルタイムに順番を替えたり、切ったりつないだりして表示することで不思議な時間の流れを作り出すという、時間が素材になったアート作品がなかなか面白かった。

時間テーマというなかなか分かりにくいテーマを、多方面から切り取っていて、あらためて“時”“時間”というものを考えさせてくれる良い展示だと感じました。

展示会場を出るとすでに暗くなっており、まさに時を感じることができた旅であったといえましょう。
 
It's a Time Magic

タイム・マジック


Time Magic (肥前夢街道イメージソング)

2011年2月23日水曜日

Violence -暴力の記憶-

海外SFミステリー傑作選にハードボイルドの始祖ダシール・ハメット「暴力のまち(「新任保安官」の翻案)があったな。
北九州市のことではありませんよ……多分。



津田です。


バイオレンスといえばジャックで定番どころだろうと思います。
他の永井豪作品もそうですが、このバイオレンスジャックも後々続々と発表される漫画やアニメやラノベの原型をすでに豪快に形作っているといっていいんじゃないでしょうか。
まさにダイナミックプロ。
ここからマッドマックス2からブラック・エンジェルズや北斗の拳、スクライドに至る流れを考えると、洗練さは上がってるけどスケール感は下がってるように感じることは否めない。

暴力というのは方向性のある力のことで、強い(と思っている)方から弱い(と思っている)方へ行使され、結果それが(思っているとおり)一方的であるなら、暴力が成立する。
普通、力の行使にはそれ相応の反作用が生じるはずなのだが、その力は直接行使者には向かわず、他のベクトルへ転化したりルサンチマン状態に陥ったりするようだ。

通常、暴力は対人関係でのみ発生するが、理不尽さを感じながらも従わざるを得ないような巨大な力、たとえば自然災害などに対しても同様に受け取るような人もいる。
この場合、自然を擬人化することによりその抗いようのない力にすら対抗できるように思い込ませることでしか、その無機質で純粋な力には耐えられないからではないだろうか。
つまり、人は暴力に対しては抗うことができるのである。
これから派生して考えれば、人類の神に対するストックホルム症候群とかいう考察もできるかもしれない。

伊藤計劃「虐殺器官」それに続く「ハーモニー」、冲方丁のマルドゥック・シリーズなどが、暴力を取り扱った作品としては最近よく取りざたされてるかな。
だれかうまいこと書いてたけど、ヒューマン・ミーツ・デウスエクスマキナの物語は結構類型がおおいよね。

2011年2月22日火曜日

Unicorn -一角獣の記憶-

君がカンイチ僕はジュリエット



大迷惑な存在になるのだ北方。



ガンダムUCは丁寧に作られたよいガンダム。映像の続きが待ち遠しいですな。
マイク・レズニック「一角獣をさがせ!」っていうハードボイルドファンタジーがあったけど冒頭はなんか記憶にあるもののおそらく手に取ってちょっと立ち読みしただけだったかな。

ピーター・S・ビーグル「最後のユニコーン」は特に有名。37年ぶりに発表された短編続編「ふたつの心臓」はヒューゴー・ネビュラ両賞受賞の快挙。ちょっと読んでみたいよね。
「完全版 最後のユニコーン」として新訳で学習研究社から出とります。
実はアニメ化もされていて、現在はスタジオジブリへ改組されたトップクラフトっていうトコが海外向け作品として制作。日米合作を目的とした制作会社だったようですな。
実写映画化も画策されてたようだけど、現在のCG技術だったら可能かもねん。

せっかくなんでユニコーン折ってみた。
しかしユニコーンの折り方ってあったのに二枚も紙を使うし角は別パーツでってあったのでそりゃ折り紙とは言わねぇんじゃって思ったんでちょっとアレンジ。

色は気にするなユニ。

やった!これで俺もレプリカントだー。
デッカード早く来てくれー!

2011年2月21日月曜日

Trigger -銃撃手の記憶-

トリガーマン!の続きは(禁句)



津田です。



未完の帝王がひとり、火浦功の作品にトリガーマン!ってあったなー。なー。

さて。
我が北九州市は残念ながら発砲事件が絶えないというイヤ~な土地柄。全国区のニュースではヤなニュースの方が多く流れる都合上いたしかたないとは思うが、それにしても多すぎなんじゃないかな。
自然災害が少ない分、人災が多いのか。

ゲーム「クロノ・トリガー」は時間移動モノのSFRPGで名作だよって糟谷さんには進められてた気がするけど、どうも鳥山明の絵がダメだったのが原因の一端でもあったようで結局やってない。

アーサー・C・クラーク(とマイクル・P・キュービー=マクダウエルの共著)にはそのものズバリ「トリガー」って本がハヤカワ文庫から上下巻で出てた。
この小説には非常に魅力的なガジェットが出てきて、その新しい技術的発明・発見が社会にどのような影響を与えてゆくのかということを考察した、一種の思弁小説であるともいえよう。
とある粒子放射機を作動させたとき、周囲数百メートル以内のすべての火薬が発火するという事態が起こる。
「トリガー」と名付けられたこの装置は、既知の手段ではその効果を妨害できない。つまり範囲内すべての火薬を無差別に発火爆発、無効化することが可能なのだ。
史上最大の銃社会、アメリカならではの命題を持ったSFであるなぁ。
この兵器破壊装置っていう存在は、日本人の感性からいえば、「銃がなければ刀を使えばいいじゃない」または「(ミノフスキー粒子のせいで)レーダーや誘導兵器が使えないならモビルスーツを開発すればいいじゃない」という方向になり、花火が見られないとは夏の風物詩が減ってしまうねぇというなんとも平和ボケしたSFになっちゃう。(そして謎のレーザーテクノロジーかなんかで代替品のエレクトリック花火とか作っちゃうんだぜ)

人はみな、心にトリガー<引き金>を持っている。それは決断である。
“銃”とは映画のために生み出された最高の小道具である、とは誰の言葉だったか忘れたが、非常に時には非情なまでの、命をも奪いかねない強力なコミュニケーションツールなのであろう。
引き金に指をかけないことも、ひとつの決断だ。
しかし、トリガーはけっして心の中から失くしてはいけない。
たとえ錆びつき用をなさないものになってしまったとしても、失くしたくはないものであるのだ。

2011年2月20日日曜日

Skull -骸骨の記憶-

おしおきだべェ~



津田です。



特撮リボルテックSERIES No.020「骸骨剣士」は即完売だったらしいですな。
ストップモーションアニメの巨匠、レイ・ハリーハウゼン最高傑作と名高い「アルゴ探検隊の大冒険」に出てくる骸骨剣士は、その後のファンタジーにも多大な影響を与えていることでも知られています。
ドラゴントゥースウォーリアなんてまさにそのもの。

骸骨、髑髏はまたファンタジーだけでなく、オカルト的要素とも相性がよく、クリスタルスカル(水晶髑髏)はジョーンズ教授も取り扱っていましたね。
最近ではゴスロリ的ファッションなどのアイテムモチーフの一つとして図案化が著しかったり。えーと撲殺天使ドクロちゃん?(適当に言ってます)

SFではスケルトンボディで炎の中から立ち現われたメカニカル骸骨、シュワちゃんの中身、ターミネーターことエンドスケルトンが恐怖をあおってくれましたね、当時は。
同スケールの骸骨剣士とエンドスケルトンの競演が見たい!

しかしドクロといえば俺の旗の下で生きるあの人。



かっこいいなぁキャプテン。