2009年12月12日土曜日

みんなフムン好きすぎ

「神林長平トリビュート」を読み終わりましたよ。



津田です。



伊藤計劃さんの急逝により「過負荷都市」を読めないのは返す返すも残念ですが、そのことと編集部からのご冥福も記載されており、今後二度と書かれないというその事実こそが伊藤計劃さんの神林長平に対するトリビュートとなっているというライブ感あふれる奇跡のアンソロジーといってもよいのではないでしょうか。

内容自体は玉石混交とまではいわないけれど、トリビュートタイトル元なら全部一度は読んでるロングピース教なら楽しめるし買う価値は十分あると思う。

新しい作家さんを開拓する良い機会にもなりうるしね。


魂の駆動体(森深紅)と敵は海賊(虚淵玄)が一番しっくり来る演奏だったかな。

一方は舞台設定を変えつつ同種の持ち味で雰囲気を醸し、一方は独自の文体でありつつ神林節を髣髴とさせる展開と、タイプは異なるのそれぞれにらしさが自然に出ているなぁ。

言葉使い師(海猫沢めろん)、この作品をを最後に持ってきたあたり序文とあわせて編集はなかなかわかっていらっしゃると関心。

掲載される順ってのもアンソロの面白さだよね。

狐と踊れ(桜坂洋)と完璧な涙(仁木稔)は共に元作中の視点を変えた作品で、楽しめる。

死して咲く花、実のある夢(円城塔)はかなり特徴のある文体で読みやすいんだけど気合を入れないと情景が浮かびにくい感じ。この作品を元にオリジナルの長編が読みたいと思わせるつくり。

盟友からの影響か、しんみりとしたもの悲しくも晴れやかな鎮魂歌を感じさせる。

七胴落とし(辻村深月)と我語りて世界あり(元長柾木)はタイプは違うがかなりの変奏。このような作品も生まれうるところに改めて神林長平の影響力の浸透をうかがわせる。

神林さんの序文曰く「自分の死後の世界」を垣間見ているかのようなこのトリビュート作品群は、新たに神林長平の挑戦の火種になっているようで、今後とも益々楽しみにできるというものです。

2009年12月11日金曜日

綺麗な棘でバラし甲斐がある

草食系男子を植物系男子と言い間違えたよ。



上舞です。



昔、光合成の事を授業で習っていた時、とある男子が「先生、植物人間も光合成するんですか」と質問していた、という逸話を思い出しましたよ。

子供って無邪気だなぁ。

それはさておき、海外『インディペンデント』紙中記事によると、トマトやポテトも食虫植物の仲間だったということがキューガーデン(英国王立植物園)の研究者らによって明らかにされたようです。

肉食性植物ということでベジタリアン涙目な話なのかな。

研究者たちがチャールズ・ダーウィン生誕200年祭を祝して食虫植物の査定を行ったところ、現在知られている食虫植物約650種類に、あと325種類ほど付け加えられ約50%増になるとのこと。

つまり嚢状葉植物やハエジゴクは解り易い殺虫構造をもってるけど、他の植物は受動的な手段で普通の食餌を補う手段を採っているらしいんですよ。

ポテトやトマトが持つねばねばしたヒゲで虫などを捕らえ、その死骸が徐々に腐敗し栄養分が地面にしたたり落ちてそれが根に吸収されるというプロセスになっていると考えられているようです。

南アフリカのムシトリノキもハエがくっつくねばねばした葉をもっているけどハエを消化する手段をもっていない。

そのハエを食べる昆虫が地面に落とすフンから栄養分を引き出すという構造と、似ているということらしい。

回りくどいですな。

研究者曰く、多くのタイプの被子植物(開花植物)はある程度の殺虫活動に従事していて、「原-殺虫植物」と言えるのかもしれません。とのこと。


「トリフィド時代」とか「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」とかがすぐ思い起こされますが、やっぱり「アタック・オブ・ザ・キラートマト」に軍配が上がるだろう(なんの?)。

日本では「グリーン・レクイエム」とか「観用少女(プランツ・ドール)」とかお美しいのにね。


植物を題材としたSFをもっと読んでみたいなぁ。

最も地球環境に改変を与えた生物であるのだからね。


「人間の意識や知性は植物が生み出したもので、これらを生じさせるヒトという動物種族は植物相の意識機関であるということができる」 -ナサンジェル・ワーグラム-

2009年12月10日木曜日

前略、未知の上より

ミクという名の~歌うたい~



歌声喫茶フェルマータ北方。



この世で一番歌を歌っているであろうボーカルアンドロイドことボーカロイド初音ミクさん(生後二年)ですが、歌声の表情を複数追加するオプション「初音ミクAppend」のデモ版が配布され、5つあるらしい表情のうち2つ「soft」と「dark」が使用可能のようです。

ほんと久しぶりにミクの歌声を聞いてみたわけですが、いやぁ、正直ゾワッとしましたね。

ミクを実際使用したことがあって、一年くらいほとんど聞いてない時期を置いて聞いた自分の感想なんですが、ほぼベタ打ちでコレだけ表情が出せるようになっているなんて驚きです。

字幕無しで初見の歌詞でもほぼ無理なく聞き取れるくらいの性能になっているし、Appendの追加表情ライブラリでまさに「感情回路」を組み込まれたかのごとき歌声を手に入れ、一体どこまでいくんだ初音ミク。


界隈のニュースとしては初音ミクのソロコンサート開催決定らしいです。

アーケードにも進出予定のPSPゲーム「初音ミク -Project DIVA-」(SEGA)の公式サイトにおいて、2010年3月9日に「ミクの日感謝祭 39's Giving Day」と題されるイベントの一環としての開催らしい。

この企画の詳細については12月17日に発表するらしいが、凄い時代になったもんさね。


あと自分たちも参加した、金星探査機「あかつき」にメッセージを送るキャンペーンで、初音ミク&はちゅねミク(デフォルメキャラ)のイラストを載せようというプロジェクトが進んでおり、「ニコニコ技術部」のWebサイトで賛同者募集中らしい。

イラスト掲載には100人以上の団体で応募する必要があるため「SOMESAT『あかつき』応援部」(仮)という団体で応募する予定とか。

12月6日から賛同者(団体への参加者)を募集、当日中に100人突破、8日現在300人超過で最終的に3939人の参加を目指すようだ。

募集は20日までで、クリプトン・フューチャー・メディア(ミク開発元)も賛同。



他にも、東北新幹線が青森まで開通するにあたりJR東日本が新型新幹線E5系を導入することはニュースで知られていますが、「E5系」の名称については来春に公募して決めるとの発表がなされています。

国内最速320kmでの営業運転予定の新型車両E5系ですが、どう見てもミク色ですほんとうにありがとうございましたといった感じ。

SNSボーカロイドにゃっぽん!では既にE5系新幹線の名前を「はつね」にしようというコミュができてる模様(アカウントがないと入れません)。


また、ネットについて考える「第1回ウェブ学会シンポジウム」が7日に東大・安田講堂(東京都文京区)で研究者やジャーナリストらが参加で開催されたのだが、ウェブと政治をテーマにしたセッションでは、批評家:濱野智史さんが、初音ミクのような「バーチャルな政治家がいてもよい」として、ネット民意を反映させた「キャラクラシー」(キャラとデモクラシーを合わせた造語)を提案した、とのこと。

影響力あるなミク。


以上、ミク関連でお送りいたしました。

ねんぷちミクはよく動いて楽しい。


素意や!!

2009年12月9日水曜日

ムームー白鯨

“書庫”整理中。またムー(学研)が出てきたよ。

デュマレスト・サーガとヴォルコシガン・サガが二冊づつ(ものによっては三冊)あるので棚に入りませんよ。




上舞です。



そういえば1980年全26話で放送のTVアニメ「ムーの白鯨」がデジタルリマスターDVD‐BOX(7枚組)として2010年3月12日に発売予定のようです。

実は「ムーの白鯨」見てないんだけど本作スタッフが後に「六神合体ゴッドマーズ」を手掛けたとあって興味を引きますな、見てみたい。

しかし鯨ってーのは最大級の哺乳類というだけあってなにかと目立つしSF作中にもわりかしよく登場するほうだと思う。

ナディアのもイリオンってのが出てたな。いおりんは以下略。

スタトレⅣにはザトウクジラ、ジュピターゴーストは鯨の歌のメッセージ、みんな鯨好きね日本人は特にいろんな意味で。

そこで思い起こされるのが環境海賊シーシェパード。

つい最近、地球最速の高速三胴船(トリマラン型)エコボート「アースレース」(売値約1億4千万円)をアディ・ギル(Ady Gil)号として導入のニュースは耳に新しい。

時速75kmでの航行が可能で最大時速93kmらしい。

SSは嫌いだがアースレースのカッコ良さだけは特筆に価する。どこのアニメから出てきたのかと思うくらいスマートだ。

でもこのデザインなんとなくダンガンレーサー(タミヤ)を思い出しちゃったゴメン。

まぁメカに罪は無いしね。

あとビバップSession#4「Gateway Shuffle」のガニメデの海ネズミとか思い起こされる。

このとき環境テロがガニメデ海ネズミの被り物をしてるんだが、最近どっかで見たことあるような~と引っかかってたら「君に届け」放送後ミニコーナー「キミトド」で日テレアナが被ってるトドに似てるんだなぁとあやしうこそものぐるほしけれ。


というわけで捕鯨問題って複雑なんだな、そうそこはかとなく書きつくるので、あった。

2009年12月8日火曜日

ワープ1で前進!

宝くじ(高額)が当たれば宇宙へ行ける時代になりましたね。



津田です。



英ヴァージン・ギャラクティック社は7日、カリフォルニアのモハベ・スペースポートで世界初の商業用宇宙船「スペースシップ2」を公開。

記者会見には800人の取材陣や最初の宇宙旅行客となる「ファウンダー」らが集まったとのこと。

カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネッガーも来てたみたいです。

「スペースシップ2」はリチャード・ブランソン氏の娘により「ヴァージン・スペース・シップ・エンタープライズ(VSS Enterprise)」と名付けられたということは貴女もトレッキーですねわかります。

みんなそんなにスタトレ好きか?大好きだ!!

現在結構多くの民間企業が宇宙旅行ビジネスに参入しており弾道飛行用宇宙船の開発も進んでいるようだが、ヴァージン・ギャラクティック社がこれで一歩リード。

2011年より希望者を募り宇宙旅行を販売していく予定。

でもお高いんでしょう?

費用は1人約20万ドル(約1800万円)、すでに約300人が予約済み。

同社は10年間で5万人の集客を見込んでおり、将来的には1人約200万円程度までの値下げを検討中とのこと。

なんと!

死ぬまでには地球を外側から眺めて見られるかもしれませんね。

今から旅費を貯めないと!

2009年12月7日月曜日

月の子供たち

ドイツでは月は男性、太陽は女性だという。



プロメテウス北方。



君君に薦められてた「アイドルマスター XENOGLOSSIA」を観終わったんだが、これが異常に面白かった。

THE IDOLM@STERはアーケード版しかプレイしたことないんだけど、ゲームとして非常に斬新な点が数多く見受けれた名作であったことは、後の展開を見れば片鱗をうかがい知ることもできるだろう。

アニメ自体はゲーム設定を直接アニメにしたものではなく、一種のスターシステムを採用したものになっており、声優が全く違うしキャラクターデザインも若干変更されている。

何より「アイドル」「マスター」の語義自体を変更という実に思い切ったつくりになっている。

一部では黒歴史扱いされているというこの作品、だがタイアップ作品というただそれだけの理由で黙殺するには惜しい、実に惜しい正統派ロボットアニメであることは間違いなく、自信を持って太鼓判を押してもいいほどだ。

この作品が冷遇されているのはキャラ設定の変更具合が対象者には換骨奪胎と受け止められなかった点にあるのではないだろうか。

スターシステムとしていい具合に変更されていると思うのだが、ジャイアントロボ(OVA)とかマリンエクスプレス具合が嫌いならダメだろうな(わかりにくい例え)。

SF設定には詰めが甘く感情の流れに一部難があったりと描かれ方が弱いところも見受けられるが、ハッタリは効いておりヒキもウマい。

なにより乗り込み型ロボットと少女の恋愛という一種馬鹿馬鹿しい物語を真面目に描き切ったことは評価に値する。

あとロボットデザインもなかなか類を見ない思い切った人型を外したもので、高感度が高い。

幸い主役メカのプロメテウス01インベルだけは寿屋から模型が出ているので買ってこなきゃ(まだあるのか)。

タイトルのXENOGLOSSIAってなんだろと調べるとxenoglossy(真性異言)と呼ばれる「知らないはずの言語を話す現象」からきているみたいだ。

ちょっとオカルトちっくだがいいネーミングだと思う。

ネーミングで言えば、モンデンキント、トゥリアビータ、アウリンはミヒャエル・エンデの「はてしない物語」から、五体のロボiDOLのインベル、ネーブラ、ヌービアム、テンペスタース、ヒエムスは月の地名からそれぞれ取られているらしい。


月が崩壊した未来の地球に、オービタルリングから降り注ぐ隕石を大気圏外で破砕する隕石除去人型重機「iDOL」と操縦する少女達の物語。

アイマス補正があるにしても、実に掘り出し物でした。

自分もiDOLになりてぇ~

アイマスは伊織派でこ。

●REC

2009年12月6日日曜日

第30回日本SF大賞

第30回日本SF大賞:伊藤計劃「ハーモニー」(早川書房) 副賞200万円。

特別賞:栗本薫「グイン・サーガ」(早川書房)

第11回日本SF新人賞:伊野隆之(東京都公務員)「森の言葉/森への飛翔」・山口優(神奈川県会社員)「シンギュラリティ・コンクェスト」 副賞各50万円。

贈賞式は2010年3月5日午後6時、東京・丸の内の東京会館にて。



津田です。



日本SF作家クラブは6日、上記のように発表。故人の大賞受賞は初とのこと。

今年3月に亡くなった伊藤計劃さん(享年34歳)の遺作、5月に亡くなった栗本薫(中島梓)さん。

なんだか共にしみじみしてしまいますね。

絶賛放置中の「ハーモニー」を読み進めたいと思います。