2011年1月1日土曜日

兎の夢

っていう短編が神林長平の「時間蝕」(絶版)に入ってたんだけど、今では「鏡像の敵」に収録されている。



津田です。



あけましておめでとうございます

さて「兎の夢」は、神林SFの三柱をなす「火星三部作」の内がひとつ「帝王の殻」で詳細に描かれ、物語の根幹を成すガジェット、銀色のボール状パーソナル人工脳「PAB」が(おそらく)初めて描かれた作品だと思う。
PABから洩れ出る電磁波を意味ある情報に読み取れる能力を持った男が、次第に現実を失ってゆく様子が描かれる神林節全開の物語だ。
この能力を兎の耳に喩えられているってわけ。

だってウサギの耳は長いんだもん。

・・・というわけで、

今年もよろしくお願いいたします。



追記:↓光子企画さんからの年賀状↓



兎刑事(うさぎデカ)-脱兎の如く- は、今春オンエアーです(嘘です)。

2010年12月31日金曜日

かくも無数の悲鳴

河出文庫「NOVA 2---書き下ろし日本SFコレクション」に神林長平の新作短編が載っているので購入したぞ。



乾杯、北方。



アンソロジー第二弾のメンバーは、東浩紀、恩田陸、神林長平、倉田タカシ、小路幸也、新城カズマ、曽根圭介、田辺青蛙、津原泰水、西崎憲、法月綸太郎、宮部みゆき、の十二名。
とりあえず神林さんの「かくも無数の悲鳴」だけ読み終わり。
いやー今年末は神林新作でシメとなりましたな。
「場末の星の酒場にて、人類の希望はおれに託された。日本SF界の巨匠が世界の扉を開く」とキャッチコピーがつけられています。
拳銃片手に追っ手から逃げ続ける名も無き男が主人公。
追いかけられている組織名に広域宇宙警察や無限追跡刑事機構とかあってニヤリング。お馴染みの通訳ガジェット:リンガフランカーも記述がある。神林ファンとしては嬉しいところ。
あ、猫っぽい奴も出ます。

話自体はいつもの神林節なのだが、次のステージを予感させるような仕上がりとなっている。
ほとんど抽象論になっているのでこういう感じのSFがダメな人には面白くないかもだが、自分はなかなかに楽しめたというか短いしすでに2、3回読み返した。
主人公は匋冥と似たようなアイデンティティを持ち、審判役の男はおそらく作者:神林自身をモデルにしているのではあるまいかと思われる。
最近もまだまだ頻出している多世界解釈SFに対する爽快なる反撃の一手にもなりうる短編かもしれんですね。
もう大御所なのに常にSFの最前線で考え闘っている感があってまだまだ頼もしい限り。
当然「フムン」健在ですよ!

年末大晦日に良い作品を読めました、うまい酒が飲めそうです。
それでは皆様、酔いお年を。
乾杯。

2010年12月30日木曜日

パンツは気にするな

仮面ライダー×仮面ライダー オーズ&ダブル feat.スカル MOVIE大戦CORE(なげぇよ)を観てきた。



おまえの罪を北方。



あー・・・まぁ子供映画としてはこんなもんじゃないっすかね。
仮面ライダースカルの映画として観れば良かったと思いますよ。
吉川晃司はカッコイイなあ。
Wも背景だったけどそこはスカルとの関連性で子供時代の主人公とか出てきてちゃんと必然性が感じられるのだけれど、オーズの話はあまり感心させないシナリオで中途半端だしもうホント脇役もいいとこ。
辛いものがありんした。
パンツシーンは腐女子向け?
タジャドルコンボが初お目見え、なんか孔雀だからか羽が。Wもエクストリームでは羽生えてたし今後羽が定番化するのかな。
なんかアポロガイストに似てる顔立ちのタジャドル、タカの意匠がショッカーマークのオマージュだからってのもあんだろうね。
そういえばディケイドでのラスボス、最高に迷惑な奴ことアポロガイストさんですが、イタミン役でもある役者の川原和久さんは北九州市出身ってことを知ってちょっと驚いた。

生誕40周年として2011年4月1日公開予定の映画「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」はどうでしょうね。
仮面ライダー1号も主演、ということらしいんですがさて。

http://www.all-rider.jp/

一応観に行く方向でしょうか。

2010年12月29日水曜日

惜しむ前にすべきこと

JAXA(宇宙航空研究開発機構)の広報施設、東京・丸の内にある商業施設「丸の内オアゾ」2階の「JAXA i」が2010年12月28日、閉館。



津田です。



そんな施設もあったらあったで行かないくせになくなるとなると惜しむとはいやはや。
なくなるにもそれなりの理由があり、それは必然といってよいと思う。
それでなくとも無限に金があるでなし、科学分野の仕分けについて個人的には否定的だが、JAXA iの廃止は結果的に関心を高めることとなり、良かったと思う。
一時的な盛り上がりではなく、関心が無くなればどんなにあなたがそれを好きでも無くなってしまうことがあるのだ、大切に思うものであれば自ら立ち上がってなにかをなさなければ消えてしまうこともありうるのだということを身をもって示してくれた、そう考えればJAXA iも浮かばれようもの。

科学そのものは非常に重要だ。
だが、それにも増して、その必要性重要性を声を大にして訴えることが、本当に必要なのだ。

2010年12月28日火曜日

大江戸ER

日曜劇場で「JIN-仁-」が仁の章・人の章として全話ディレクターズカット版二夜連続一挙放送でやってて、ついつい見入ってしまいました。



上舞です。



去年話題のドラマだったんですね、全然知りませんでしたよ。
基本的には医療ドラマなんだけど、タイムスリップSFモノとしてもいいんじゃないかな。バックトゥザフューチャーやターミネーター的な楽しみ方もできるかも。
原作は漫画なんだね、作者は六三四の剣の人。名前から女性かとも思ったけど男性作家さん。
にしては主人公:南方センセと龍馬さんはイチャつき過ぎのような気がいたしますことよ。
にしてもこのドラマ、よくオトコが男泣きに泣くなぁ。
ソレ系のヒト達にはたまんないんじゃないのかな。
あと龍馬役の人が私から見てすっごくハマってて、これまで見てきた龍馬役の中ではイメージにぴったりぜよ。
どっかで見たなと思ったら軌道エレベーター恋愛ドラマ「10年先も君に恋して」の未来からタイムスリップしてくる人じゃん。時間旅行に縁がありますね。
他には金八先生が緒方洪庵やってる。

タイムスリップものにしては(躊躇する場面もちゃんとあるものの)かなり積極的に未来をより良いものにと変えていこうとする主人公で、珍しいんじゃなかろうか。
例によってネタバレ気にしない私なんで漫画の結末は調べてみたんだけど、ドラマ版は結構変更がされてあるようですな。
医療SFとしては<メド・シップ>シリーズとかも好きなんで、来春の完結編はちょっと楽しみですよ。

2010年12月27日月曜日

ガラスの地球を救え!

のためだけに河出文庫の「NOVA 1---書き下ろし日本SFコレクション」を買ったよ。



津田です。



ま他にも伊藤計劃、円城塔、北野 勇作、小林泰三、斉藤直子、田中哲弥、田中啓文、飛浩隆、藤田雅矢、牧野修、山本弘とかなりメジャーどころが顔をそろえているので、これを機会に新たな作者を開拓するのもいいかと思ってね。

とりあえず田中啓文の「ガラスの地球を救え!」だけはジックリ読んだ。
イイハナシダナー。
普通、田中啓文の作風だと徐々に興味をそそられるよう読者に期待させながら読ませておいて、最後の一文でぐったり脱力させるような一種落語(っていうか駄洒落)オチみたいな感じでシメられるのだが、今作は最初っからしょうもない出だしでなんだかなぁって気分になる。
しかし。
今年のヤマト映画を観賞した後で読むと、最後の感動はひとしおであろうよ。
田中啓文で泣かせられるなんて思ってもみませんでした。

最後の一文、あれが効いたな。

読後、他のいろんなSF作品をももっと読みたくなる、そんな稀有な良作短編であります。

2010年12月26日日曜日

だからイオリア

コミュニケーション能力が最も不足しているお前がそもそもの元凶。



上舞です。



「劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-」のDVD見たけどさ、00としては普通でしたね可も無く不可も無く。
映画としてはB級、ガンダムとしてはお粗末に過ぎる。ロボットアニメとしての出来栄えにも疑問が多い。劇中劇もただお寒いだけ。
一言で言うと何一つとして“説得力が無い”んだよね、少なくとも私には感じられない。

地球外生命体と戦うガンダムってーと公式ではないものの漫画で「機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス」とか「Gの影忍」とかあるけど、突出した突拍子の無さ加減は逆に好感が持てるほどであり、よほど“ガンダム”に対する情熱を感じさせる(好き嫌いは別として)。
00はコレで一応の完結をみたわけだが、なんともお粗末な結果となり残念至極。良くなる要素も秘めていただけになんともはや。

比較して「劇場版 マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜」も観たんだが、こちらは格段に面白かった。
マクロスとして格段にアップグレードしつつ王道的に歴史を進めている。
時代に即しつつ良いものは失っていない良心的な作品で非常に好感が持てるところだ。
次作「劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜」にも期待できようというもの。

全機、突撃ラブハート!