2010年8月1日日曜日

海岸道路振り向かず行くよ

サヨナラは八月。



葉山ですの。



その昔、ひむかの国を離れ、この北部九州の地に到りたのもこんな暑い八月のある日であったかもしれません。

炎天下の夏は一種の恐怖。

灼熱光が視界を、蝉の唸りが聴覚を、アスファルトから立ち揺らめく透明な夕立の蒸発が嗅覚を、陽に押し付けられ重く粘着な空気は味覚を、炙られ絞られた汗の張り付きが触覚を、五感をま白く圧倒していく。

茫漠とした無音の律動が、熱による蛋白質の肉の溶解が、気化ゆく思念の噴出と対流が不安定な大気のうねりとなり不確実な未来が種の綻びた背なから押し入らんとするかのようだ、にじみ入らんとするかのようだ。

あぁその海岸線からよれ分岐した、海に入り続いて錆び朽ちようとするレールが見える。
なにかまろびつ沈んでゆくのか、なにか這いずりよじってくるのか。
一刻も早くここから立ち去らねばならぬ。



という夢にまどろんだような気がしたんですの。
nobody's perfect