2010年7月31日土曜日

死も狩りぐらしの

カミも借りぐらし。



津田です。



山田正紀デビュー作「神狩り」読み終わり。
押井守と似たような鬱屈したものを感じ取れるなぁと思ったらほぼ同年代。
時代性ってあるんだなぁ。
そういや以前「イノセンス」のノヴェライズもやってるってこと調べたじゃん、忘れてたよ。
犬仲間なのか。

青臭い怒りに満ち満ちた本作品はプロローグにヴィトゲンシュタインを引いているのだが彼にはこんな言葉もあるらしい。

神は私にこう言われるかもしれない。「私はお前自身の申し立てによってお前を裁く。お前は自分自身の振る舞いを他人に見たとき、吐き気で身震いしたではないか。」

神を糾弾したり倒したり殺しちゃったり追放しちゃったりすることは昔からそんなに特別もの珍しいことではないのだろうけれど、これを“狩る”としたところにこの物語の大きな存在意義があるといってよいのではないのだろうか。
「神狩り」、かっこいい耳に残らざるを得ないタイトルだよね。
今でいえば即中2病だなんだで片付けられちゃうラノベ扱いな感じだけれど、本気で神を狩りだしてやるという一種狂気染みた作家の憤怒が垣間見えるような粘着質な勢いがあって、そりゃ好き嫌いは分かれるだろうけれど嚆矢として凄い作品だということはいえる。
哲学や言語学からのSF的アプローチの方は興味深いんだけれど、中途半端で正直ちょっと食い足りないのだが。
あと主人公が鼻持ちならない鬱陶しい系の嫌な奴なんだけど他人のそういうところを自覚無しに嫌悪している感じが読んでてなんだかなぁ、これが若さか。
ギスギス系主人公は初期神林にも多いんだけど。

初期作品で“神”三部作ともいわれている、「弥勒戦争」と「神々の埋葬」も読んでみたいんだけど入手可能なのかな。

続編「神狩り2 リッパー」は相当な分量だし、30年分の重みがあると期待しつつ読みましょうかね。