2010年5月22日土曜日

紅い眼鏡の世界

ここが「都々目紅一の世界」か・・・



津田です。



1995年、夏。

人々は溶けかかったアスファルトに己が足跡を刻印しつつ歩いていた。

ひどく暑い。




というわけで「紅い眼鏡 The Red Spectacles」を光子企画上映会にて観てきた。

押井守を語るにはもうこの作品一つで十分じゃないのかな。

とか思わせるほど押井守臭漂う作品で、すっごくいい。


フランス映画あんまり見たことないけど噂によると退屈でどうしても眠くなってしまう場面が必ず存在するらしいけど押井ちゃんも影響を受けているだけあってこの作品でもそれは踏襲されている。

つうか「ラ・ジュテ」見たことあるけど演出とか画作りとか雰囲気がホント似てるんだなぁと感じさせる。

秘密を隠しているかもしれない人物とそれを暴こうとする組織の構図はプリズナーNo.6を彷彿とさせたり。

ま、なにより声優:千葉繁プロモーション・ビデオというコンセプトだけあって生身でのアニメ表現をも堪能できる貴重な映像ともいえよう。

また多数の声優陣が出演していることもあって声を聞けばどっかで聞いたことある人ばかりでそういう人にもたまらないつくり。

だがいわゆる“不条理モノ”でもあるのでこういうのがダメな人も多かろう、好き嫌いがはっきり分かれる映画なのは間違いなく、マニア向けなのは間違いないだろうな。

名台詞の数々、引用や例え話の多様、陰影を強調した画面作りと見所は盛り沢山。

ロケーションでも冒頭、紅一がヘリで逃亡するシーンはなんとお台場、当時は周囲に何も無く時代の移り変わりを実感させてくれる。


多分作品同様、時間がある程度経つたび何度か見返したくなる映像、名作と言うにははばかられるし(はばかりのシーンは最高だが)人にはおいそれと薦められない作品ではあるのだが繰り返し何度も見たい欲求に駆られるのは、このケルベロス・サーガの狂想に取り込まれてしまっている観客もある意味共犯者であるからなのかもしれません。


「この世界のお宝、プロテクトギアはどうやら持って帰れないもののようだね、リボルテックで我慢するとしよう」

トランクの中身を確認しながら。