TVタイトル"The Man Trap"の邦題が「惑星M113の吸血獣」ってのも大概だが、ノベライズ版はなぜか独自のタイトル"The Unreal McCoy"になっており訳が「実体のないマッコイ」、当時どうしてこんな題名なのか悩んだものでした。
津田です。
結果から言うと"real McCoy"って一種の成句があるらしく、<米国のボクサーNorman ShelbyのリングネームKid McCoyを他の同じ名前のボクサーと区別するためにthe real McCoyと呼んだことにちなむといわれる>らしい。
つまり小説版タイトルはこれをもじったものであり単に「偽者のマッコイ」でいいんじゃん。
"実体のない"とかなにか深遠で哲学的な意味でもあるかと思ってしまってたが、解決してすっきり。
このタイトルが示すようにまたかと思われるかもしれないがシェイプシフターの異星怪物がこの話のネタになっている。
主にマッコイの昔の恋人ナンシイに化けてるんだが、マッコイを昔の愛称でプラムさんと呼ぶ。
ぷぷぷプラム?恋人を食べ物系の愛称で呼び合う文化なんだろなデカルチャー。
しかしこの巻(STAR TREK 1)はなんか訳に違和感があると思ったらおなじみ斉藤伯好さんじゃなくて中上守さんだった。
翻訳モノは訳者も重要だよな。
この話自体はミステリ仕立てで進行してゆき、相手の望む姿になれる種族の最後の生き残りを地球の絶滅種になぞらえて描かれる箇所もあったり、SF的要素にも抜かりはない。
吸血じゃなくて塩(まぁ栄養塩類、塩基ってことだろう)を生きている生物から吸引する生物で、ヴァルカン人のソレはお気に召さなかったらしい。スポックのヴァルカン特性超便利。
結局、一行はこの怪物を絶滅させちゃうんだけどね。
この種族が滅びていったのは塩の供給が断たれたことだけが理由ではないだろうとカークは推測する。
あまり利口な種族ではなく、せっかく自分の持っている強みを十二分に発揮できなかったんじゃないかと。
それを受けてスポックも自分たちがそうなる可能性も示唆。
マッコイのメロドラマ的な苦悩を描きつつも説教臭いところもあって、実にスタートレックらしいよなぁ。
我々も塩(サラリー)を断たれると死を免れないですからな。