TV版邦題は「おかしなおかしな遊園惑星」。
常に絶対にそうだ、なんてものは存在しない北方。
シオドア・スタージョンが原案のこの話は、TV放送は最初の方なんだけど小説版では実質最終話に位置しているという構成はなかなか味があると思ってる。
初っ端からギャグテイスト満載で、背中の筋肉が引きつったカークの背中をマッサージするスポック、と思いきや女性下士官だったーなんて出だしだ。
乗組員430人全て連日の激務で肉体的にも精神的にも疲労が溜まっているという状態で、オミクロン・デルタ地帯の地球に非常に酷似したのどかな無人惑星を周回しているエンタープライズ。
偵察班の報告を待って上陸休暇を与えようと考えるカーク船長だが、自分の休暇はとりたがらないのであった。
上陸班に加わっているマッコイはこの人間も動物もいない素敵惑星をまるで「不思議の国のアリス」の世界だ、っていうんだけど早速チョッキを着て懐中時計を手にした白ウサギに遭遇。
この映像がもうすごく着ぐるみ、よちよち歩き去っていく白ウサギを唖然と見送るマッコイは当然のように金髪エプロンドレスの少女にも出会うのです。
なにこの展開。
スポックはカーク船長に、非常に疲労困憊しており苛立ちやすく能率性を失い怒りっぽくなっている乗組員が休暇を取りたがらないことへの相談を持ちかけるのだが、前述のように船長自身のこと。
まんまと船長に船長自身への休暇命令を出させることに成功、やるなスポック。ここら辺のやり取りも面白い。
以後、上陸班の面々はなんとなく考えたり思ったりしたことがそのまま現出する現象にドタバタ劇を繰り広げるのですが、各乗組員の個性が出てて楽しい。
スールーはまた奇行に走るし。
助けに降りたスポックすら惑星上で起きている現象を説明する際、
「例えばロドリゲスが虎を考えたとき・・・」ガオーッ!虎来た(笑)。
ま結局この惑星は<遊園地>的な娯楽施設であって、管理人たる高度に発達した種族が遊ぶために作ったものだったというわけ。
小説ではスールーが、
「遊ぶですって?そんなに進歩した人種であるあなたがたでも、遊ぶのですか?」
というのに対しカーク船長は、精神構造が複雑になればなるほど遊びの単純性が要求されるものだと説く。
こういうお遊び回でもキチンとSF的要素を押さえてくるのがいいですよね。
この回はSTOエピソードでも類を見ない能天気さなんで印象的なのか、のちにTNGでは乗組員のためのリクリエーション施設「ホロデッキ」として取り入れられたのだろうと自分は考察している。
ホロデッキ・エピソードはかなり重要な位置を占めてくるようになると聞いてるし、VOYにおいては緊急用医療ホログラム「ホロドクター」として重要な乗組員の一員にいたるまで繋がってゆくのだ。
「休暇」という概念をしっかり一エピソードとして取り入れているスタトレは先見の明があるなぁ。
休暇は重要ですよね。
さて、自分はそろそろ休暇を切り上げ、ワープ1で前進!
ですかな。