2010年7月29日木曜日

果てしなき名枯れの果に

IT法とは象牙の塔(アイボリー・タワー)法のことです。



津田です。



小松左京「果てしなき流れの果に」(角川文庫版)を読み終わり。
この人の想像力ってどうなってんの。こんな作品1966年に書かれたんじゃ後のSFが霞んじゃうのもわかるような気がする。
もうそのイマジネーションたるや見てきたの、ねぇ見てきたのって感じ。
書籍の電子化なんてさらっと一段落程度で流してるのにそのリアリティ。
すでにこの本の内容自体がオーパーツっていっても過言じゃないですよホント。
特筆すべきは軌道エレベーターが全世界に先駆けてフィクションに登場する点。
登場人物が乗るのは赤道直下スマトラからの完全電磁誘導加速のものだが、話の中には“エヴェレスト特急”と称する途中までロケット・ブースター加速するタイプやアンデスの新大陸同盟が組み上げたコンパクシ・エレベーターというのも出る。

なんというか筆圧が鈍器で頭を殴られてるかのような圧倒感でクラクラする。
これ読んじゃうと今まで読んできたものの大半はこの作品の一部分に過ぎないって気がしてくるほど。
まさに果てなき知の奔流に流されゆく先に、真のSF真髄の一端に触れることが可能なこの真書。

日本SFの到達点のひとつにして金字塔、 「果てしなき流れの果に」に触れられて、非常に満足です。
小松左京は面白いなあ。またなんか“書庫”から借りてこよう。