まぁ冗談だが。
ジェイムズ・P・ホーガンが亡くなって、「星を継ぐもの」くらい読まんとねーみたいな話をしてたんで「酒を注ぐもの」って返信したんだけどそのあとすぐ、「注ぐのはだれか?」って続けられなかった俺のオーラ力マジ低い。
津田です。
“書庫”から借り出してた小松左京「継ぐのはだれか?」(ハヤカワ文庫)を読み終わり。
昭和49年印刷の初版であるな。現在はハルキ文庫で読めるようだ。「かあいい」もそのままなのかな。
携帯電話もインターネットも普及していない時代にすでにそれらが普通に使用されている時代を描いており、 その先見の明には舌を巻くばかり。
ミステリ要素もあるんだけれどかたくなまでに頑として「SF」そのもでしかありえないその展開は、膨大な科学知識に裏打ちされており 、ウーパールーパーの名称もまだ無い時期に幼形成熟個体の例にアホロートルをすんなり出してくるあたりその一端を垣間見ることができよう。
国際的学園都市でテレパシーめいた殺人予告から始まるこの物語、こう書くとまるでラノベのようだがとある大学生視点で描かれており青春小説としても読むことが可能だという恐ろしい作品。
エアカーが出るのはご愛嬌って感じなんだが。
また主に大人の登場人物達の数々の名台詞(ていうか名演説)だけでも読む価値は十二分にある。
豊田有恒さんが解説に書いてあるとおり、小松さんとその作品は巨大に過ぎて読者がその全容を、面白さを伝えようとするに、己の知的レベルを恥じて手が動かせないほど(恥知らずなんで書くが)。
「継ぐのはだれか?」、知的興奮が読後も止まることを知らない最良のSFのひとつ。
小松左京作品とは、孤高で孤独な優しい知の巨人が生み出したものなのである。
そんな小松作品をこれからもまだ存分に楽しめ読める俺は幸せ(まだほとんど読んでないから)。
さぁ継ぐのは、誰だい?