2010年7月21日水曜日

なんて素敵にジャポニスム

ガラパゴス化じゃあない、日本化なんだ。



上舞です。



「生誕150年記念 アルフォンス・ミュシャ展」を北九州市立美術館本館で鑑賞してきました。
上野の東京都美術館で観たミュシャ展の時は財団秘蔵のって銘打たれていましたが、出品点数自体は今展のが多いし、パリ万博時の壁画の大きな下絵とかもあってなかなか見ごたえがあります。
なんてったって東京と比べて人が少ないんでじっくり鑑賞できるのがいい(ちょうど学生団と重なってしまい騒がしかったがそれでも比較にならん)。こんな時は地方でありがたい。
堺市所蔵品が中心ですがプラハ市立美術館蔵のものも多数あり、中でもチェコ時代の祖国の為に安値で描くよって頑張ったのに若手からはそんなことすんな!と反発を喰らって涙目ながら描いた(妄想)扇型っぽい枠線で描かれたシリーズとか初見だったので興味深かった(間違ってるかも)。
絵画以外にもその大きさに驚く「ウミロフ・ミラー」やステンドグラス、宝飾品やビスケット缶箱なんかもちらっとある。
もちろんおなじみのサラ・ベルナールのポスターシリーズ、巻きタバコや酒類、自転車などのポスター広告(萌え絵商法)、四季・芸術・草花・宝石・天体などの擬人化シリーズをはじめ少女から美女からヒヤシンス姫から女性盛りだくさんで目に鮮やか、アール・ヌーヴォー満喫。
でもワシ本当は≪スラヴ叙事詩≫を描きたかったんじゃ!(キリッ)。てとこも案外好感持てるのがミュシャのいいトコ(そうか?)

ミュシャをはじめ当時の芸術運動アール・ヌーヴォーは、もれなく日本文化すなわちジャポニズムの影響下にあったといってもよく、独自進化を遂げた日本文化に魅力を感じ取り込んだ結果生まれ得た芸術である。
そのアール・ヌーヴォーが、近年日本の漫画・アニメ・ゲーム各分野において絶大なる影響を及ぼしていることは今更ながらいうまでもない。
そして今現在、「現代のジャポニスム」として日本の漫画・アニメなどがヨーロッパなどで高い人気を博している。

このようにたがい互いに良い影響を及ぼしあって新たなものが生まれ得る、幸福な連鎖というものが確かに存在することを感じ取ることもできるだろう。
ミュシャの細やかな衣装などの紋様を見てると森薫がチラついたぜ。

ガラパゴス化はそこでエンドではけっしてない。
多様性のフィードバックによって更なる調和による多様性がリバイバルされてゆくのではないだろうか。


余談:今展で「ハーモニー」って作品もあって、そういえば伊藤計劃「ハーモニー」って百合雑誌で漫画化らしいけど糟屋さん買わないのかなぁとか思ってみたり。