2010年6月19日土曜日

ごらん、そびえるビルの群れ

水・金・地・火・木・土・天・冥・海

今だと商品が一個減っちゃいますよね~



津田です。



まぁそれは置いといて、パブリックドメインになっている『メトロポリス』(1927年版)というドイツ映画を観ましたよ。

モノクロサイレント映画に触れる機会なんて滅多にないけど、名作の誉れ高い今作品をようやく観られて満足。

「SF映画の原点にして頂点」と称されているのも納得の超大作だった。

オリジナル作品は153分という大長編映画だったみたいなんだけど、興行的政治的理由で大幅にカット。

そのせいもあってフィルムがかなり失われていたんだけど、ここ何年かでフィルムの再発見があり、完全版復元への期待が高まっているようです。


しかしその約1/4が欠落しているとはいえ長いしサイレントだし、体調を整えて挑まないと最初は寝る。

が徐々に引き込まれること間違いなしだ。

映像表現の迫力は、当時これだけのものがすでに作られていたことがにわかには信じられないほど。

第二次大戦前ですよ。

ヒトラーもこの映画をすっごく気に入ってたというのはある意味よくわかる話だ。

つうかこんな映画があったにもかかわらずヒトラーの台頭を許した罪の無いとされる一般民衆一人一人にこそ戦争責任があるわなぁ。

「地獄に墜ちる世界を見物するのよ」:アンドロイド・マリア

あと出演者の演技にも新鮮味をおぼえるだろう。演劇的というか芝居がかっているというのは無声映画ならではだろうが、声や効果音や感情を自然と喚起させうるその力は臨場感あふれ迫ってくる。

マリア役とアンドロイド役の一人二役をこなしたブリギッテ・ヘルムは特に必見。

逸話として語られるバベルの塔のシーンや七つの大罪のイメージ具現化のシーンなど見所には事欠かない。


またこの「メトロポリス」のイコンとしても知名度が高い、マリアの姿を写す前のアンドロイドは、映画史上最も美しいロボットと謳われ、その影響は新しいところではペルソナ3のアイギスにもその片鱗が見受けられる今後とも無視できないデザインのアンドロイド存在として君臨し続けている。


的確な人物いや人類描写、痛烈な社会批判、文明への警告を含みつつも、

「手と頭脳はたがいに思いやりを持つことで理解し合えるのだ」

という調停者による希望の片鱗をもうかがわせる脚本。

完璧なSF映画である。


下手なリメイクなどせずに、完全版復元の折には是非とも今の映画館でも上映して欲しいものです。

コピーマシンのように流れて落ちるような現在の映画作品の中にも、このぐらいの素晴らしいものを期待してますよ。


いや~しかしこの作品に気がついてよかった、いい映画観た!

かすかな追い風もふりかえる感性が必要ですな。

さぁ夢見るandroid girlを愛の望遠鏡で探す作業に戻るんだ各界の技術者様様。