北方草。
突然だが徒然草はいい。
読むと昔も今も大して変わらんなぁということがよくわかる。
ところで変わらない、変化しないということは実は絶大な変化のエネルギーをもってエントロピーを一定に保っているという見方もできるだろう。
熱力学的平衡状態でない開放系に生ずる定常的な構造を散逸構造というが、系内外部間でエネルギーのやり取りをも行いつつ、開放系であるためエントロピーは一定範囲に保たれるのである。
この定常開放系システムは生命現象の本質としての理解が可能と目されてもいるようでなかなかに興味深く、テセウスの船を思い起こされるものでもある。
人体を構成する原子(炭素)はおよそ5年もあれば全部が入れ替わるという調査結果もなにかで見た覚えもある。
構成物質が置き換えられても変化を感じさせず同一であると認識させるというのは奇妙な感じがするものではあるが、すべての物事は相互に関連するという結びつきによってある現象を構成しており、この関係性こそが同一さを認識させているという「空」の認識に近いものがうかがえる。
空ではあるけれども虚無ではないのだ。
やめばこそ ながれちにおい まつおうか 北方多聞