観てきたで!ヤマト!
なにもかもみな懐かしい北方
山崎貴監督にひとこと言いたい、
よくやってくれましたよ!!(キムタク以外)
ガンガンネタバレでいくよー
無限に広がる大宇宙・・・(ナレーションbyささきいさお)
もうこれだけでイケると感じさせられましたよ。
最初からクライマックスだぜ!
初っ端の火星星域戦では守と沖田の対立は無く、駆逐艦ゆきかぜが沖田艦の盾となり撤退時に身を呈して守るという展開。
おやっと思ったがこれは主人公:古代進と沖田艦長の対立構造を明確化するための変更だと思われる。
今の時代、死ぬとわかっていても戦って戦って戦い抜いて一隻でも多くの敵艦を道連れに・・・なんてのは既にナンセンスだからだろうし、主題の一つでもある守るために戦う、生き残ることも闘いということを描いているのだと思われ、変更にさして違和感はない。
そういえば第十一作スター・トレックもそんな出だしだったよな。
さて、イスカンダルからのメッセージカプセルを拾った古代が、高濃度放射能に侵された外気にさらされたにもかかわらず何の害もなかったことが、この作品の伏線である。
そして沖田の重大な嘘。
これはかなり強引な展開に思われる人もいるかもしれないが、ここにこそ今作の肝があるといっていい。
我々ヤマトファンは何度“嘘”に付き合わされてきたであろうことか。
曰く「ヤマトはもう二度と皆さんの前に姿を現す事はありません」
曰く「あれは誤診じゃった」
曰く「完結編→復活篇」
このウソというのは既にヤマトという作品を語るにおいては一種定番化形骸化した諦めにも似た境地に達していたものであるが、今作ではそれを物語の根幹に組み込むことにより、我々ファンにのみ与えられるであろうカタルシスを生み出してくれたのだ。
なんという優しい、いや、厳しさに満ちた覚悟ある嘘であろうか。
特筆はメカニック、アナライザー(声・緒方賢一)の存在である。
古代が装備する小型コンピューターに移植したAIであり元々コスモゼロの拡張ユニット・・・と思いきや!終盤では「バトル・アナライザー」キターッ!!
この形態はおそらくプレイステーション「コスモウォーリアー零」(遊んだなぁ)に登場した戦闘用ロボットのオマージュで間違いのないところ。
あ、コスモゼロは中折れ式に可変しますが、これはいわゆるAMBAC(アンバック、Active Mass Balance Auto Control = 能動的質量移動による自動姿勢制御)であり、零戦の空戦格闘性能をわかりやすく視覚化した演出であります(妄想)。
ヤマトのワープ戦術にも度肝を抜かれるぜ?
ストーリーはまんま初期TVシリーズではなく、あぁ「さらば~」を混ぜてオマージュ的に作ってるんだなぁと思っていましたが、最初期企画書段階のシナリオ、松本零士参加以前の「ラジェンドラ星」版ヤマトをもオマージュしていることを知ってなるほど納得、本当にほっとしたというか胸の支えがようやく取れて、すっきりとした清々しい気分で劇場を後にすることが出来ました。
豆知識:初期企画書段階ではアナライザーと相原しかオリジナルキャラがいない。
キャラといえば真田さんの柳葉敏郎が吹き出すほど似てるというか役作りなのだが、「こんなこともあろうかと」を言ってくれないのが心残り、コレは外せんかったろうに(はやぶさ的に考えて)。
しかし沖田のアレはある、泣いていいぞ!!
台詞でいえば「佐渡先生・・・・・・ありがとう」もあって泣ける。
そうそうミーくんはちゃんと毛色も合わせておりかわいかったな(女医の演技はダメだったが)。
そして本編最大の関心事であった“敵”、ガミラスとデスラーの存在。
あぁっやってくれましたよ伊武雅刀、CGでキタキタキターッ!!!
ガミラスの正体はスタトレでいうところのボーグっぽい奴、クリスタル状鉱石質生命体で意思集合体という一種ありきたりのもの。
でも・・・でもそれでいいジャン!!
今更、「ガミラスに下品な男は(以下略)」って言っても仕方ないジャン!
自分としてはコレで満足ですよ。
そういえばパルスガンはエネルギーレベル調整ができてフェイザーっぽいよな。
第三艦橋ネタ、ドリルミサイルネタもあるし空間磁力メッキは台詞としてあったような気がする。
ラストへのシーケンスは「さらば~」をほぼ踏襲。
古代がヤマトと共に敵デスラー艦へ特攻というかたちをとっている。
全体として満足のいく映画でホッと胸をなでおろしたのだが、ところどころでどうしてもキムタク演技が鼻についてイラッとさせられる点が多かった。
しかし知名度などからキムタクを採用しなければこの映画は製作できなかったであろうし、ほとんど必要悪である。
そう考えると、実はこのキムタク採用って西崎義展プロデューサーのオマージュというかパロディ的な要素をも含まれているのかもしれない。
おりしも2010年11月7日、自身所有船『YAMATO』から転落、死亡したことをも考え合わせると、なにかと感慨深いものがある。
そんなこんなで、すっきり清々しい心持ちで劇場を後に出来た日本VFX映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」。
さらば!