2010年10月18日月曜日

財布はがらんどう球で、俺は底にさわってしまったんだから

直径約320kmの小惑星型航宙船<ヨナダ>はその1万年の長きに渡る航海の末、従来の軌道を外れて人口30億を有するダラン星系第五惑星との衝突コースを進行中であった。



津田です。



TVタイトル「宇宙に漂う惑星型宇宙船」は小説版では「世界はがらんどう球で、 おれは空にさわってしまっ たんだから」というちょっと長いけど印象に残るなんとなくロマンティックな題名。
この話は<ヨナダ>内部の退化文明の人々との交流とその小惑星宇宙船の進路変更に奔走するカーク、スポックの話であると同時に、冒頭でドクター・マッコイが治療法の知られていない病に冒されていて、余命一年だろうというところから始まる、マッコイと現地人巫女とのラブロマンスものでもある。
ここで小説版ならではのマッコイの心の声の表現を。

足もとに気をつけろよ、坊や―と、マッコイは自分に言いきかせた。
(中略)
胸の中のボーイスカウト精神がささやきかけた―このキャンプファイヤーは消した方がいいぜ、兄弟……。


巫女さんの方も情熱的なもので、余命わずかと打ち明けるマッコイに対し、一年でも立派な一生になるわ、と返す。

それにしても表題にもなっている、禁を破って山に登ってしまった老人の最期の言葉、
「この世界は大きながらんどう玉でよ、わしの手は空にさわってしまったんじゃからの」
は、なんとも示唆に富んでいる言葉であることよ!
みな自分の所属する世界をどれほど知らずに生きていることであろうか。

事件解決後にカークはマッコイに聞く、
「教えてくれないか、ドクター」
「なぜ治療が往々にして病気そのものと同じような苦痛をもたらすのか」
と。

エンタープライズ号の冒険は続く・・・。