2010年9月8日水曜日

編集者の記憶

【C】\キャンベル!/ 【J】\ジョン!/
SF雑誌編集者ジョン・W・キャンベル!(立木文彦ボイスで)



津田です。



「月は地獄だ!」は図書館の岩崎書店シリーズでしか読んでないけど作家としてのジョン・W・キャンベルは映画「遊星からの(よりの)物体X」の原作者でもあります。
その名を冠した新人賞があることからもわかるように、編集者としては数多くの新人作家を世に送り出したことでも知られ、A・E・ヴァン・ヴォークト、ロバート・A・ハインライン、シオドア・スタージョンなどそうそうたる面子を雑誌アスタウンディングからデビューさせています。
アイザック・アシモフも彼の元で一流作家として育てられ、出世作の短編「夜来たる」はキャンベルのアイディアであり、かの「ロボット工学三原則」もアシモフの短編を元にキャンベルが設定したものなのだ。
トム・ゴドウィンの短編「冷たい方程式」の原稿を三度送り返し、あのエンディングにOKを出したのも彼である。
まさにSF黄金時代の立役者のひとりであり、もうSFはアスタウンディングだけでいいんじゃないかなって感じで無双状態。
原爆投下1年前に核兵器を扱った小説が掲載されると、FBIがキャンベルのオフィスに踏み込み販売停止を要求したというから、いかに最先端の科学知識を駆使した作品作りを実践していたかということがうかがい知れるというものであろう。
また同時期にファンタジー専門誌「アンノウン」を創刊。その編集方針は現代ファンタジーに重大な影響を及ぼしたとされており、アイディア的には現日本におけるラノベ界にまで当然影響が及んでいる(憶測)。
またフリッツ・ライバー、シオドア・スタージョンのデビュー誌でもある。

でもね、こんな強大強力かつ豪腕で確固たる人物だったようだから悪い影響だってことさら大きかったようです。
疑似科学に傾倒していったようだし。
無名だった新人を発掘して育て、大成までさせた作家陣からも総スカンをくっており、親友だったハインラインも最終的には親交を絶ってしまったらしい。
キャンベルがもたらしたSF黄金時代の始まりは7月、1939年夏。
1971年7月11日、61歳で急死するその最期までSF専門雑誌の編集者であり続けた。

アスタウンディングの現誌名は「アナログ(Analog Science Fiction and Fact)」。
今でも刊行中である。