2010年9月7日火曜日

メトセラへの鎮魂か?

TV版邦題「6400歳の恋」、最近流行の非実在老人もびっくりですね。



津田です。



リゲル熱という腺ペストに似た症状を発し罹病後24時間以内にほとんどの患者が死亡するという伝染病に襲われたエンタープライズ号は、唯一の治療薬として知られるライタリンを確保すべく、大鉱床が存在する無人惑星に到着した。
だが既に下士官一名死亡、四名が重態という危機的状況にあった。

まぁこんな惑星にはたいてい世捨て人がひっそり隠れ住んでいるのはお約束、歴史学者だというミスター・フリントなる人物がM4と呼ばれる金属球体ロボを召使に隠遁生活をおくっていたのだ。
最初は出て行けと言っていたフリントだが一応薬の精製をロボに指示してエンタープライズ一行(カーク、スポック、マッコイ)を地下住居へ招き入れる。

そこには未発見のダ・ヴィンチの絵画やブラームスの新曲譜面があり、フリントの養女だという聡明で美しいレイナ・カペックという若い女性がいた。
ここでフリントの宇宙連邦批判とかあったりもする。
ビリヤードなんかでくつろぐなか当然のようにレイナと魅かれあうカーク、カークたちを引きとめようとしているようでなにか懸念しているようでもある曖昧な態度をとるフリント。

タイトルで壮大にネタバレしているように、フリントの正体は紀元前3034年メソポタミアで生まれ、
以後歴史に偉人として名を残すことも少なくなかったという経歴を持つ不老不死の男だったのである。
そしてその孤独を埋め合わせる究極的な女性、不老不死の永遠の配偶者を望み作り出したのがアンドロイド・レイナなのだ。
レイナに情緒、そう言ってよければ愛情という感情を呼び起こすためにカークを利用したというかたち。
それなんて寝取られ。
うん、男は何年経っても馬鹿なんだなぁ。

こんな計画が上手くいくはずもなくスポック曰く、
「愛の歓びが彼女を人間にした。そして、愛の苦しみが彼女を滅ぼしたのです」
「神の手が複製された。一個の生命が創造された。だが、そのあとで―あなたは理想的な反応を要求した―そのようなものは、神でさえまだ待たされているのに」
となかなか哲学的な感じに、ここらへんTV版では台詞どうだったかな。
事件後ドクター・マッコイの報告というかたちで、フリントは自分が形成され完全な均衡を保っていたそのエネルギー場の複合体である地球を離れた時、不老不死性を失っていたことが報告される。
こんな馬鹿げたことをやっちゃったのも精神的老衰ゆえであったと考えれば、まぁつじつまは合うのか。

この回はSFではよく取り上げられるいわゆる不老不死テーマと人造人間に感情を持たせるピグマリオンテーマが絡み合った(悪くいえば詰め込んだ)、なかなかに考えさせられ印象にのこる作品。

だが最も驚愕するのはラスト。
なにその腐女子や貴腐人狂喜乱舞な展開。
興味ある方は是非。

続きは書籍で!