2010年1月22日金曜日

The only neet thing to do.

一文字違いで台無し。



上舞です。



昔から月へ行く方法はたったひとつというわけではなく、様々な想像や科学的考察がなされてきました。

その中でもすぐに思い出されるのが、フランス作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説2部作通称『月世界旅行』ではないでしょうか。

南北戦争終結後のアメリカで、火器専門家集団「大砲クラブ」がフロリダ州タンパに巨大コロンビアード砲を製造、人間の入った砲弾を月に撃ち込もうとする、今の目から見れば荒唐無稽な物語でありますが、この魅力的なコンセプトは実現可能な現実的なアイディアとして生きていたようです!



元ローレンス・リバモア国立研究所物理学者John Hunter氏によると、

赤道付近に大砲を作り水中に沈め、海上に浮かんでいる装備に連結。

海中の大砲末尾部は燃焼室になっており、天然ガスを使って水素を2,600ºF(約1426ºC)にまで加熱。

結果500%まで圧力をあげる事ができるそうです。

このエネルギーを使って、0.5tほどの内容量のカプセルを時速約2万921kmで宇宙まで打ち上げる事が可能、という理論。

でもお高いんでしょう?

このプロジェクトには約454億円の費用が見積もられているようです。

現在、約1kgの打ち上げに100万円程度かかると言われているのが、このシステムでは約4万円までコストダウンできる見通しだとか。

まぁさすがに生き物は乗せたくない感じですが、非常に有効な手段であることがこの計画からはうかがえます。


さて、月の表面に顔があって砲弾が突き刺さっているイメージ画がなんとなく思い起こされるのですが、『月世界旅行』は映画にもなっています。

以前、光子企画さんと話していた時、反重力で月に行く話しではなかったかと言われて調べてみたんですが、反重力物質というガジェットを使っていたのは英作家H・G・ウェルズの『月世界最初の人間』でした。

私もごっちゃになっていたんですがそれもそのはず、大砲で月へ行った人間が月人に出会うというプロットの映画『月世界旅行』は、ヴェルヌとウェルズのストーリーを混ぜたものだったからなんですねぇ。

後年、「H・G・ウェルズの月世界探検」という映画もあったことがさらに混乱に拍車をかけていたように思われます。

混ぜるな危険。


まぁ安価に安全に人間が地球から宇宙へ出る方法としては、やはり『軌道エレベーター』を建設するってのが冴えたやりかたのような気がするのですがねぇ。


参考というか蛇の足

『月世界旅行』(1902)


「サイエンス チャンネル」シリーズ無料動画

Rocket! ぼくらを月につれてって 新・月世界旅行



アポジー&ペリジー - 月世界旅行(1984)