津田です。
アーシュラ・K・ル・グィン「闇の左手」、苦難と共にようやく読み終える。
マジプールやウールスもかなり困難な旅であったが、惑星ゲセンの旅はホント寒すぎるで。
でも今年の冬があまり寒くないような気がしてきてよかった。
しかし翻訳のせいなのか構成を理解していなかったせいなのか、とにかく取っ付きが悪かった。
主人公と副主人公、それぞれの一人称語りという二本糸で織り成されており、横糸に惑星<冬>の伝説や歴史が綴られるといった構成。
がやはり名作、ダブルクラウンは伊達じゃない。
俺の評価基準のひとつに「再読に耐えうるか」という点があるが、後年読み返すであろうことは間違いないと思われる。
性別無き愛の実験。これはSFでなければ成し得ないところの文学であるなぁ。
ところで主人公であるエクーメン宇宙連合使節ゲンリー・アイであるが、心話という一種のテレパシー技術を持っていることを除けば普通の人類種の男性である。
しかしながら、この長旅の期間中に髭に関する言及が無かったことは、性を扱う作品の中で奇異に思われた。
読み飛ばしてる可能性も高いので間違っているのかもしれんが、俺にとって髭とは性差的に気っても切れないものだと感じているので、作者が女性の為なのかそれともなにか意図があるのかは不明である。
再読の折、気づくこともあるのかも。
萩尾望都「マージナル」では髭の件はあったが、こちらは男性だけの世界であるからして当然か。
あとエストラーベンはおにいちゃん(両性具有の世界ではなんと表現するのか知らんが)大好きっ子であるな(ネタバレ、なのか)。
苦しくはあったものの、有意義な<冬>の旅であった。