2009年4月24日金曜日

ほ:ホーマン軌道も二度

同一軌道面上の2つの円軌道の間を最も少ないエネルギーで移動することができるホーマン遷移軌道(ホーマン軌道)でも、近日点と遠日点の2回の速度変化を必要とする。

このことから、安易で単純に見える道筋にも確実な手順が必要だということ。




津田です。



人工衛星の打ち上げで低高度円周軌道(パーキング軌道)から衛星軌道まで高度を上げる際の軌道のほとんどは、このホーマン軌道を通ります(厳密にはちょっと軌道面変更があるけど)。

この楕円軌道は静止トランスファ軌道と呼ばれています。

地球に近い方のパーキング軌道と遠くの方の静止軌道を両端とする楕円ですね。

で、静止トランスファ軌道から円軌道、つまり静止軌道に変換するために遠日点で吹かすロケットエンジンのことをアポジ・キック・モーターといいます。

遠地点(apogee)で噴射する(kick)ロケット・モーター(motor)なんですね。

用途による定義というわけです。


はい、ガンダム世界とは違いますね。

ちなみに近日点で使用されるロケット・モーターはペリジ・キック・モーターって言うらしい。

ガンダム世界のアレは現実に置き換えるとスラスタかバーニアってことなんでしょうね。

主推進に使用しない姿勢制御用のもの:スラスター・モーター

特に推力が低く微調整に使われるもの:バーニア・モーター

これらは推力による定義ってわけです。


フィクションとは異なっているので要注意なのですね。



惑星間の移動の場合には、重力を利用しスイングバイすればもっと少ないエネルギーで軌道変更でき、時間短縮になることが多いため、ホーマン遷移軌道が単独で使われるわけではないとのことです。