2010年9月26日日曜日

ネウロイは砕け散った

というわけで「ストライクウィッチーズ2」は好評のうちに最終回を迎えたようですね。



津田です。



前回の宮藤成長物語としての側面はやや薄れ、上官坂本少佐の失われつつある魔法力に焦燥する物語でもありました。
この世界の設定は実に巧妙に女性が尊敬される存在としてまた醜いものを極力排するようにして構築されており、兵器と少女という相反する存在を巧みに融合させています。
アニメではその限りではないようですが、世界地図から中国と中近東のうちイラン・イラクにあたる部分は排除され巨大な湾となっていて、アメリカ大陸にあたるリベリオン大陸は星型となっています。
作品の舞台となる世界では魔法が存在し使用されているいわゆるファンタジー世界。
魔力を使える人間は圧倒的に女性が多く、しかも魔力の影響か容姿に優れた女性が多いという美しいものが嫌いな人がいて?
10代をピークに年齢と共に魔力を失うことが多いというここは古典と違い現代の超能力モノか一種のスポ根のようなテイスト。
中でも魔法シールドを失うことでこの世界での強大な異形の敵ネウロイと戦う戦士としての寿命が終わってしまい、この理由から兵役期間がとても短く、人々から「儚い花」さながらの憧れの象徴とされている、らしい。
ここまである意味女性上位で持ち上げた特殊設定なのでジェンダーSFとしても注目されそうなもんだがそんなことはまぁなかろうと思うので安心。
エンジョイ&ノットパンツである。

では彼女らが闘う敵、ネウロイとはいったい何者であろうか。
古代ギリシャ歴史家ヘロドトスが『ヒストリアイ(歴史)』にその名を見ることができる。

まず、カリピッタイというギリシア系スキタイが住んでおり、その向こうにはアリゾネスという民族が住む。アリゾネスの向こうには農耕スキタイが住み、その向こうにはネウロイが住むが、ネウロイ以北は我々の知る限りでは無人の境である。

ネウロイはスキタイ風の慣習に従っているが、ダレイオスの遠征より一世代以前に、彼らは蛇の襲来に遭い、全国土から退散せねばならぬという羽目に陥った。この国に多数の蛇が発生したのみならず、さらに多数の蛇が北方の荒野から来襲したためで、遂には困窮の果てに故郷を捨て、ブディノイとともに住むこととなった。この民族はどうやら魔法を使う人種であるらしく、スキタイやスキュティア在住のギリシア人の言うところでは、ネウロイは1年に一度だけ数日にわたって狼に変身し、それからまた元の姿に戻るという。私はこのような話を聞いても信じないが、話し手は一向に頓着せず真実であることを誓いさえするのである。

なんとこんなとこから引っ張ってきて妄想考証してるなんて恐れ入る。歴史、お好きなんですね。
この古代ギリシャ時代の黒海北部に住んでいた遊牧民族には上記のように人狼伝説があることが知られ、ここを魔女(ウィッチ)の使い魔設定にしてるんだろな。
アリゾネスというのはあのアマゾネスのことなのでなるほど女性だけの部族ってとこはかなり近い。
あれ、でもこれネウロイの設定ですよ?
そう、我々の世界では。ストライクウィッチーズの世界での侵略者、侵入者とはこの世界が排除した人間同士の戦争に象徴される醜悪なもの、つまり我々の世界の視線そのものというわけではないだろうか。
1939年、突如世界各地に出没した、金属の航空機や陸上兵器のような外形を持ち圧倒的攻撃力を有すうえ、金属を根こそぎ吸い尽くし大地を腐らせる「瘴気」を撒き散らしながら進行する正体目的不明の謎の軍隊、ネウロイ。
いわずとも男性原理を象徴とする兵器や戦争そのものの凝縮化であろうことは明らかだろう。
なかなかに深いテーマ性を内包しており、主人公宮藤芳佳軍曹の異常とも思える胸部への執着は単に幼児性を表しているというわけではなく、母性を希求する平和な世界の象徴たりえるのだ、そうだそうに違いあるまい。

そういえば坂本美緒少佐のモデルである大空のサムライこと坂井三郎は、戦記物について水木しげるにアドバイスしたことがあるらしいが、向井理に坂本少佐がアドバイスしてる絵が浮かんで変な気分になった。

なんの話だっけ。

とまぁ、守りたいから私は飛ぶ(闘う)という主張は同じく今日最終回を迎えた「戦国BASARA弐」で赤いのも青いのも同様なことを言っていてこれがシンクロニシティかと思った。

なにを信じるのか、守るべきものがなんなのかってことが大事なんじゃねぇのかyou seeでござろう(混ぜるな)。