2010年8月8日日曜日

す:スペオペこそSFの上手なれ

スペースオペラとは、ソープオペラ(昼メロ)とかホースオペラ(安上がりに作った西部劇)から同列として名付けられたことからもわかるように、その呼称には蔑称の意味合いが強かったことがうかがい知れる、ヒーローが超光速宇宙船で大宇宙を股に駆け巡り光線銃を撃ちベムや異星人やマッドサイエンティストなどを退治し囚われの美女を救出するという宇宙活劇のことである。
最初期の作品として1912年あたりから始まったE・R・バローズの火星シリーズは、後のスペースオペラとヒロイック・ファンタジーに絶大な影響を与え、バローズが生きている頃には数百人の模倣者がおりその模倣者の中でも有力な者にはさらに数百人の模倣者がいたという伝説があるほどであり、近年のラノベパクリ事件なんてかわいいもの。
差し詰めラノベはセカイオペラとかスクールオペラとか言うと理解しやすい。
そんなスペオペ、科学に対してはハードSFとは真っ向対極、相対性理論を無視して光速の壁をすんなり超えるのにもまぁ理論は所詮理論だしーとか未知のエネルギーとかで華麗にスルー。
惑星や銀河系のひとつやふたつ破壊するのは当たり前だけど主人公は絶体絶命のピンチでたとえ死んでも不老不死となって蘇ることはそんなに珍しくないし出てくる半裸の美人おネェちゃんはみんなヒーローとねんごろになります。
どうしようもない三文小説ではあったのですが、そんな中にも数多くの名作が生まれており、野田昌宏宇宙軍大元帥をはじめ熱心なファンらが特に良質なものを日本に紹介してくれたからこそ、現在のアニメやゲーム、ラノベなどのサブカルシーンが隆盛を極め、日本を代表とする文化にまで発展しているのだ(ほんとかよ)。
そういや大元帥の従弟が麻生太郎ですな。



津田です。



このことから、たとえ凡百の中からであってもその目さえあれば優れたものを見出すことは可能だということ。

これだけ人気のあったスペオペに反発するかのようにまたハードSFも盛り上がるわけであるのだから、スペースオペラはSFにはなくてはならないジャンルのひとつであり続けているのだろう。
近年ではSF的舞台設定を背景として政治戦略や歴史、人間関係の変遷などに重きを置くSF史劇的な作品や、より科学的考証にこだわりハードSFとの融合をはかった作品なども現れ、ニュー・スペースオペラとも呼ばれていたようですね。