役所に行くついでに図書館にも寄ったんだけど田中啓文の「禍記(マガツフミ)」があったんでつい借りて読んだ。
津田です。
寄せ集めた短編の合間合間を書き下ろしの小話でつないでいる構成。どれもこれも悪趣味なイヤ~な話なんで統一感はないんだけどカタロヒナ文書という禍記、つまりタナカヒロフミが書いたという一冊なんで問題ない。
・取りかえっ子:ミステリ。赤ちゃんって怖いね。
・天使蝶:いい伝奇。ギガ(漢字忘れた)谷って土地が出てくるんだけど、ラストあたりでほとんど怪獣化した蝶を差し「超獣だ」というシーンで、あぁ鳥獣戯画っていいたかったんだなぁと脱力。
・怖い目:グロ注意。子供の頃に読んでたらトラウマ間違いなしのゲテ。悪趣味の真骨頂が遺憾なく発揮されている。
・妄執の獣:「モミ」が来るよ。意外、ちょっとだけモミがかわいいモミ。子供って別の生き物だよネオテニー。
・黄泉津島舟:まさかの宇宙SF。亜空間航行が開発されたものの生物は正常に通過できない。なぜかと言えば亜空間とはまさにあの世、死後の世界「黄泉」だったんだよ!ってことで一回死亡させてからワープさせたのちに蘇生させる技術が開発されたという世界。神話的で七夕チックなロマンス(謎)もあるけど肝心のオチが弱い感じか。
・伝奇原理主義宣言-あとがきに代えて-:挿話されている「禍記」とこの「あとがき」めいた文章も合わせて一冊の作品。結局「禍記」自体は俺は解読しなかったけれど、アレはそもそも解読できるんだろか。最後の一文でやはり脱力。田中啓文らしいなぁ。
じゃん!
伝奇を大切にね」